forva 業界レポート
2026年9月号
鈍る仕事量と、生成AIで開く差
ITサービス事業者の売上高は、2026年も前年を上回っている。しかし、価格の上昇分を除いた仕事量の伸びは大きく鈍り、情報サービス業の中小企業の業況は悪化した。事業者は技術者を経験・技能で選ぶようになり、生成AIへの対応で、会社の差は開いていくとみられる。本号は、官公庁の統計、上場各社の決算、業界への取材から、その実態を示す。
出所:総務省「サービス産業動態統計調査」、日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」
見立ての根拠は次の4つである。
出所:forva調べ、総務省「サービス産業動態統計調査」、日本銀行「企業向けサービス価格指数」、厚生労働省「一般職業紹介状況」、技術者を提供する上場各社の決算短信・決算説明資料、ギークス(受注単価・案件数の減少の説明)、SHIFT(採用の見直し)、東京商工リサーチ
読みどころは、投資家・アナリストには第1章・第6〜11章、SES事業者の経営・営業責任者には第4・5章、フリーランス技術者には第4章、会社に雇われて働く技術者には第2・3・7章である。
国の統計で情報サービス業の売上高をみると、2026年7月分(速報)まで52か月続けて前年同月を上回った。四半期の前年同期比は、最も高かった2025年7-9月期の11.1%から、10-12月期の10.0%、2026年1-3月期の7.9%、4-6月期の5.5%へと下がっている(図表 1)。
売上高の伸びを、価格と仕事量に分けてみる。企業間で取引される情報サービスの価格は、2024年4-6月期から2026年4-6月期まで前年同期比2.0〜3.6%で推移し、仕事量に比べて振れが小さい。売上高から価格の上昇分を除いた仕事量(forvaの試算・算出方法は附録A)は、前年同期比で2024年4-6月期の4.9%から2025年にかけて高まり、2025年4-6月期(7.5%)と7-9月期(7.2%)に最も高くなった。その後は10-12月期の6.7%へ小幅に下がり、2026年1-3月期は4.7%、4-6月期は2.4%と大きく下がった。2025年10-12月期以降、価格は3.1%で変わらず、2026年に入っての売上高の鈍化は仕事量の鈍化による(図表 1)。
図表 1
ITサービス事業者の売上高・価格・仕事量の前年同期比(情報サービス業・四半期)
棒=売上高(総務省「サービス産業動態統計調査」)、線=価格(日本銀行「企業向けサービス価格指数」情報サービス)と仕事量(forvaの試算)/単位:%
| 24/4-6 | 7-9 | 10-12 | 25/1-3 | 4-6 | 7-9 | 10-12 | 26/1-3 | 4-6 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7.8 | 6.5 | 7.4 | 8.9 | 10.7 | 11.1 | 10.0 | 7.9 | 5.5 |
| 価格 | 2.7 | 2.0 | 2.0 | 2.2 | 2.9 | 3.6 | 3.1 | 3.1 | 3.1 |
| 仕事量(試算) | 4.9 | 4.4 | 5.3 | 6.6 | 7.5 | 7.2 | 6.7 | 4.7 | 2.4 |
技術者を提供する上場18社(選定の基準は附録A)の直近四半期(主に2026年4-6月)では、売上総利益率が前年同期を上回った会社が13社、売上高が前年同期を下回った会社が3社、営業利益が前年同期を下回った会社が7社である(各社の値は図表 15)。減収の会社は少なく、仕事量の鈍化は上場各社の売上高にはまだ広く表れていない。
売上総利益率が上がった会社には、人数や稼働時間を増やすのではなく、単価と案件の選び方で利益を伸ばした会社がある。SIGグループは発注者から直接受ける取引を広げて単価を改善し、システナは利益率の高い領域に技術者を集めた。メイテックグループホールディングスは、稼働人員と稼働時間が減るなかで、技術者の対価の上昇により増収・増益となった。
営業利益が前年同期を下回った7社のうち、決算資料で四半期の減益の要因が示されていた6社では、5社が人件費・外注費の上昇や、採用・人材育成・研究開発などへの投資による費用の増加を挙げた。減収を要因に挙げたのはクラウドワークスで、AIの影響とエンジニアの仲介の伸び悩みを減収の理由とした。売上高が前年同期を下回った3社のうち、クラウドワークスは前述の理由による減収で、ICはソフトウェア開発の売上高が減り(システム運用は増加)、DTSは前年同期に大型案件が集中した反動だった。
出所:総務省「サービス産業動態統計調査」、日本銀行「企業向けサービス価格指数」(仕事量はforvaの試算)、技術者を提供する上場各社の決算短信・決算説明資料
2025年は、ハローワークが扱ったIT技術者(職業分類の「情報処理・通信技術者」)の求人数が前年比+0.3%と前年並みで、求職者の申込件数は+2.4%と増えたが、就職件数は▲9.5%だった(図表 2)。求人も求職者も減っていない中での減少であり、求人や求職者の数の変化では説明できない。求人数は、1-6月が前年同期比+4.1%、7-12月が▲3.5%で、年の後半に前年を下回った。
図表 2
ハローワークでのIT技術者の求人数・求職者の申込件数・就職件数の前年比(2024・2025年)
厚生労働省「一般職業紹介状況」のうち、ハローワークが扱ったIT技術者(職業分類の「情報処理・通信技術者」)の常用(パート除く)の件数/各年1-12月の合計の前年比・単位:%
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 求人数 | 4.5 | 0.3 |
| 求職者の申込件数 | 0.0 | 2.4 |
| 就職件数 | ▲8.4 | ▲9.5 |
ハローワークが求職者を企業に紹介した件数は、求職者が増えたにもかかわらず、2025年に前年比▲3.5%だった。紹介100件あたりの就職件数も、2024年の7.9件から2025年は7.4件に下がった(図表 3)。2025年の就職件数の減少は、紹介件数の減少と、紹介が就職に結びつく割合の低下の両方による。紹介100件あたりの就職件数は2023年の8.8件から2024年、2025年と2年続けて下がり、就職率(就職件数÷求職者の申込件数)も同じ期間に9.6%から7.8%まで下がった。
図表 3
ハローワークでのIT技術者の就職率と紹介100件あたりの就職件数(2023〜2025年)
厚生労働省「一般職業紹介状況」のうち、ハローワークが扱ったIT技術者(職業分類の「情報処理・通信技術者」)の常用(パート除く)の件数/各年1-12月の合計どうしの比
| 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|---|
| 就職率(就職件数÷求職者の申込件数) | 9.6 | 8.8 | 7.8 |
| 紹介100件あたりの就職件数(件) | 8.8 | 7.9 | 7.4 |
2025年にSES事業者の現場で目立ったのは、生成AIではなく、定型的な案件の大幅な減少だった。SES事業者はそれまで経験の浅い技術者を大量に採用していたが、採用しなくなった。定型的な案件が減ったのは、DXで多くの定型作業が少しずつ置き換えられてきたためとみられる。コールセンターの応対はチャットボットやAIへ、PCのキッティングは自動化の仕組みへと移りつつある。一つひとつは小さな置き換えでも、多くの作業で重なり、定型的な案件の総量を減らした。業界全体の仕事量はこの年に大きく伸びており(第1章)、減ったのは仕事ではなく、経験の浅い技術者が担える仕事である。伸びたのは、手順に落とし込みにくく、人の判断やノウハウが要る仕事で、事業者はそうした仕事を担える人を求め続けた。ハローワークのIT技術者の求人数も、2025年は通年で前年並みを保った。一方で、取材では、ハローワークで仕事を探す求職者には経験の浅い人が多く、求人が求める経験・技能に合わなかった。紹介が減り、紹介しても採用されにくくなったのは、このためとみられる。
ITスクールが人材紹介を兼ねるようになり、就職しやすい求職者ほど民間の経路で仕事が決まるようになった。ハローワークでは紹介が就職に結びつきにくくなり、2024年にも就職件数は前年比▲8.4%だった。2025年の減少は、この傾向に経験の浅い技術者の選別が重なったものとみられる。選別は上場企業でも公になっており、SHIFTは2026年4月、年収600万円以下の345人の採用を止めると公表した。
2026年には、クラウドソーシングを運営する上場2社(ココナラは3-5月期、ランサーズは4-6月期)も、同じ種類の仕事の縮小を開示した。ランサーズは、AIの実用化の進展に伴い、記事作成やデータ入力などの定型的な業務の発注の縮小が続いた一方、AI実装支援や生成AI関連開発などの領域では「需要が急速に拡大」したとした。ココナラは、ロゴや記事作成など低単価で単純な制作が構造的に縮小する一方、高単価帯は増えたとした。
出所:forva調べ、厚生労働省「一般職業紹介状況」、ランサーズ「2027年3月期 第1四半期決算短信」、ココナラ「2026年8月期 第3四半期決算説明資料」、SHIFT「2026年8月期 第2四半期 決算説明資料」
2026年1-8月の合計を前年同期と比べると、ハローワークが扱ったIT技術者の求人数が▲6.0%、求職者の申込件数が+8.0%、就職件数が▲5.1%だった(図表 4)。就職率は6.6%で、前年同期(2025年1-8月)の7.5%を下回った。前年の水準に左右されないよう2024年同期と比べても、求人数は▲3.3%、申込件数は+10.8%である。民間の転職サービスのレバテックでも、転職を希望するIT人材の数は、2026年6月時点で前年同月の146%だった。
図表 4
ハローワークでのIT技術者の求人数・申込件数・就職件数の前年同期比(2026年1-8月)
厚生労働省「一般職業紹介状況」のうち、ハローワークが扱ったIT技術者(職業分類の「情報処理・通信技術者」)の常用(パート除く)の件数/2026年1-8月の合計の前年同期比・単位:%
| 2026年1-8月 | |
|---|---|
| 求人数 | ▲6.0 |
| 求職者の申込件数 | 8.0 |
| 就職件数 | ▲5.1 |
求人数は2025年7-12月に前年同期比▲3.5%と前年を下回り、仕事量の伸びが下がり始めた時期(第1章)と同じだった。仕事量の伸びは、2025年7-9月期の前年同期比7.2%から、2026年4-6月期には2.4%まで下がった。この間の2026年1-3月は、業界で生成AIへの関心が急に高まった時期でもある。ハローワークの求人数は7月に前年同月を上回ったが、8月は再び下回った。申込件数は7・8月とも前年同月を上回り、就職率は7月が5.8%(前年同月7.8%)、8月が6.0%(同7.1%)と、いずれも前年を下回った。
出所:forva調べ、厚生労働省「一般職業紹介状況」、総務省「サービス産業動態統計調査」、日本銀行「企業向けサービス価格指数」、レバテック(転職を希望するIT人材の数)
案件を探す技術者: フリーランス仲介会社のギークスでは、案件倍率(同社サービスの案件数÷案件を探すフリーランス技術者の数)が、2026年4-6月に前年同期比▲36.5%となった(図表 5)。同社サービスの案件数は前年同期の約0.8倍で、案件倍率はそれ以上に下がっている。同社サービスで案件を探すフリーランス技術者も増えたとみられる。同社は、案件数の減少の背景を、実装の工数がAIに代わりつつあることと説明している(第7章)。レバテックでも、フリーランス向けの案件への希望は、2026年6月時点で前年同月の136%で、前年(2025年6月時点で136%)に続いて増えた。
図表 5
ギークスの案件倍率(四半期)
ギークス案件倍率(案件数÷案件を探すフリーランス数)/四半期累計・単位:倍。ギークスが自社のサービスについて集計した値で、判定には用いない参考指標
| 24/1-3 | 4-6 | 7-9 | 10-12 | 25/1-3 | 4-6 | 7-9 | 10-12 | 26/1-3 | 4-6 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 案件倍率 | 8.60 | 7.50 | 9.66 | 9.63 | 7.80 | 8.01 | 7.53 | 6.74 | 5.75 | 5.09 |
稼働中の技術者: 稼働中のフリーランス技術者の稼働人月は前年を上回った。ギークスでは4-6月の稼働人月が前年同期比+1.7%だった。一方、同社が企業から受け取る単価(受注単価)は83.7万円で、前年同期比+0.9%とほとんど上がっていない。上場の仲介会社のTWOSTONE&Sonsでも、同社のサービスで稼働するエンジニアの数が3-5月期に前年同期比+10.5%だった。7・8月度には、会社に雇われた技術者を派遣するオープンアップグループで、IT領域の技術者の稼働率が前年同月を下回った(機電・建設の領域を含む同社全体の稼働率は前年を上回った)。TWOSTONE&Sonsは、10月6日に2026年8月期の業績予想を引き下げた。稼働エンジニア数が期初の想定を下回ったためである(前年との比較ではない)。同社は、「ITエンジニア需要は依然として高止まり」し、「企業からの案件数は底堅く推移」しているとしたうえで、主に自社の営業体制の強化の遅れから、主なサービス(Midworks)でマッチングが停滞したと説明した。案件数の動きは仲介会社によって異なる。
倒産した事業者: 東京商工リサーチの集計では、2026年1-6月の情報サービス業者の倒産は166件で、上半期としては過去10年で最も多かった。166件のうち162件が破産である。従業員5人未満の事業者の倒産は135件で、前年同期比+25.0%だった。従業員5〜10人未満は22件で、前年同期比+10.0%だった。10〜20人未満は5件、20〜50人未満は4件で、この2区分は前年同期より減っており、増えたのは従業員10人未満の事業者である。
出所:ギークス(案件倍率・稼働人月・受注単価・案件数の減少の説明。「ギークス案件倍率レポート」・決算説明資料)、レバテック(フリーランス向け案件への希望)、TWOSTONE&Sons(決算説明資料・連結業績予想の修正に関するお知らせ)、オープンアップグループ(IT領域の稼働率)、東京商工リサーチ
従業員の少ない事業者でも、発注者と直接取引する事業者などには、単価・引き合いとも大手と遜色のない企業が少なくない。業界団体JISAの会員企業の集計では、2024年度の売上高の伸びは、従業員200人以下の会員企業(以下、小規模の会員企業)が前年度を100として109.4と、規模別で最も高かった。
採用: 採用1件あたりの手数料(有料職業紹介でIT技術者を常用就職させた1件あたり・全国の求人者の平均)は、2019年度の130.1万円から2024年度は156.0万円へ、19.9%上がった(図表 6)。手数料の総額は2024年度に約1,040億円で、2019年度の2.00倍に増えた。これは、採用件数が39,859件から66,662件へ1.67倍になったことと、1件あたりが1.20倍になったことの掛け合わせで、総額の増加の大半は採用件数の増加による。
図表 6
有料の職業紹介でIT技術者を採用する際の手数料(年度)
厚生労働省「職業紹介事業報告書の集計結果」のうち、職業分類「情報処理・通信技術者」/棒=手数料の総額(左軸・億円)、線=採用1件あたりの手数料(右軸・万円)/総額の増加には採用件数の増加を含む
| 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 手数料の総額(左軸・億円) | 344.7 | 467.8 | 518.8 | 596.1 | 612.4 | 796.0 | 875.2 | 1,039.8 |
| 採用1件あたりの手数料(右軸・万円) | 123.3 | 130.1 | 130.1 | 166.3 | 138.5 | 144.5 | 146.3 | 156.0 |
採用1件の手数料は、小規模の会員企業(JISA)が従業員1人あたりに1年で上げる営業利益(2024年度の平均で117.2万円。従業員1,001人以上の会員企業(以下、大規模の会員企業)は385.0万円)を上回る。手数料は1回だけ払う全国平均の費用、営業利益は会員企業の年額で性質が異なるため、1件の採用費用の大きさを測る目安として並べる。待遇の面でも、30歳の年収は、小規模の会員企業が465.8万円、大規模の会員企業が538.3万円である。東京商工リサーチも、情報サービス業の倒産の背景の1つに、規模の大きい企業が待遇を引き上げて人材を確保していることを挙げている。
稼働: 以前は担当する案件が終わっても、発注者が次の案件まで事業者との契約を続け、技術者を確保しておく期間が長かった。現在は、案件の終了とともに発注者が契約を打ち切る例が多い。従業員の少ない事業者は、待機となった技術者に代わる要員が乏しく、取引先も限られるため、次の案件を確保することも難しい。業界団体の会員企業の集計では、人件費が売上高の5割以上を占める会社が、小規模の会員企業では82社中32社、大規模の会員企業では57社中6社である。小規模の会員企業のように人件費の比重が高く利益の薄い事業者ほど、待機中の技術者の人件費を吸収する余力は乏しい。
出所:forva調べ、厚生労働省「職業紹介事業報告書の集計結果」、JISA「情報サービス産業基本統計調査」、東京商工リサーチ
技術者を自社に抱える会社が人を増やすペースを落とす動きは、上場SaaS企業に先に表れている。AIはこの動きを強めるとみられる(第9章「AIへの対応で開く差」)。
第1章でみた売上高の鈍化が、自社のソフトウェアを提供する側にも表れているかを、上場SaaS企業27社の決算でみる(選定の基準と各社は附録A)。
売上高の前年同期比の中央値(買収などの影響を除いて10四半期の値がそろう会社)は、最も高かった2025年4-6月の24.0%から、2026年4-6月は15.4%に下がった。継続課金の売上を年額に換算したARRの伸びも、同じ時期に下がっている(図表 7)。
図表 7
上場SaaS企業の売上高とARRの伸び(四半期・前年同期比の中央値)
線=上場SaaS企業の中央値(売上高は買収などの影響を除いて10四半期の値がそろう18社、ARRは開示する会社)、破線=情報サービス業の売上高/単位:%
| 24/1-3 | 4-6 | 7-9 | 10-12 | 25/1-3 | 4-6 | 7-9 | 10-12 | 26/1-3 | 4-6 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| SaaS企業の売上高 | 18.4 | 18.9 | 21.1 | 21.2 | 20.4 | 24.0 | 20.3 | 14.8 | 16.5 | 15.4 |
| SaaS企業のARR | 26.1 | 27.5 | 27.4 | 25.2 | 26.4 | 25.5 | 24.8 | 21.7 | 19.4 | 17.6 |
| 情報サービス業の売上高 | 4.6 | 7.8 | 6.5 | 7.4 | 8.9 | 10.7 | 11.1 | 10.0 | 7.9 | 5.5 |
それでも、対象27社のうち2024年の営業利益率を公表資料から得られないユーソナーを除いた26社中21社が、直近1年の営業利益率を2024年より上げた。ただし前年同期からの上げ幅は、2026年に入って小さくなっている。
人を増やすペースは、売上高より先に落ちている。決算期ごとの年次の値でみると、従業員数の伸びの中央値は、比べられる最も古い2023年6月までに終わる期の15.4%から、直近の期は9.3%に下がった。同じ期間の売上高の伸びは22.1%から20.6%で、従業員数ほどは下がっていない(図表 8)。
図表 8
上場SaaS企業の従業員数と売上高の伸び(決算期・中央値)
各社の有価証券報告書の従業員数と売上高の前の期からの伸びの中央値。横軸は、決算期末の時期で各社の期をまとめた1年/単位:%
| 2022年7月〜2023年6月 | 2023年7月〜2024年6月 | 2024年7月〜2025年6月 | 2025年7月〜2026年6月 | |
|---|---|---|---|---|
| 従業員数 | 15.4 | 12.5 | 10.4 | 9.3 |
| 売上高 | 22.1 | 21.4 | 20.6 | 20.6 |
生成AIによる開発や業務の効率化を開示した会社は16社、それを理由に人員の増加を抑えると書いた会社は6社ある。ただし、人を増やすペースが落ち始めたのは2024年6月までに終わる期からで、この6社の表明の多くは2026年に入ってからである(規模別・四半期の人員は附録B)。
解約率が前年同期より上がった会社は4社で、下がった会社(7社)より少ない。既存の顧客の離脱が広がっている様子はみられない。
出所:上場SaaS企業各社の決算短信・決算説明資料・有価証券報告書、総務省「サービス産業動態統計調査」
生成AIに関する上場各社の開示を図表 9に示す。開発の工程のうち、AIで代替できるとされたのはコーディングとドキュメントの作成で、TDCソフトはAIの活用前に100人月だった案件が70人月になる例を示した。採用ではSHIFTが、AIの時代に必要な人材に合わせて、経験の浅い技術者などの採用を抑える。業績の説明では、野村総合研究所が増益の要因の1つにAIを挙げ、SHIFT・DTSがAI関連の売上高を開示した。クラウドワークスは、減収の理由の1つにAIの影響を挙げた(第1章)。フリーランス仲介会社のギークスは、案件数の減少の背景に、実装の工数がAIに代わりつつあることを挙げた。クラウドソーシングのランサーズは、定型的な業務の発注の縮小とAI実装支援などの拡大を開示した(第2章)。
| 会社 | 開示の内容 |
|---|---|
| TDCソフト | 画面・機能のコーディングやドキュメントの作成を「AIで代替可能な領域」とし、AIの活用前に100人月だった案件が70人月になる例を示した |
| TIS | 2030年3月期までに開発の生産性を50%高める。特定プロジェクトの外部設計から製造までの工程で、生産性の47%の向上を確認した |
| SHIFT | AIの時代に必要な人材に合わせて採用を見直し、2026年8月期に単体の採用を440人抑える(7月公表。4月には、年収600万円以下の345人の採用停止を公表していた。第2章)。抑える対象は「未/微経験エンジニア」のほか、AIを使わないテストの人材、バックオフィス・オペレーションの人材(人数はその合計)。採用を加速する対象は、事業部長クラス、スキルの高いプロジェクトマネージャー、営業、AI関連の人材。AI関連の売上高は2026年3-5月に7,917百万円(前の四半期は2,545百万円) |
| 野村総合研究所 | 2026年4-6月期の増益について「AI駆動開発等による生産革新効果も寄与」と説明した |
| ギークス | 同社サービスの案件数が前年の約0.8倍で推移している背景を、「生成AIの普及に伴い、コーディングを中心とした実装工数がAIに代替されつつある」と説明した |
| DTS | 「AI・生成AI」の2026年4-6月期の売上高は8.2億円(前年同期から5.9億円の増加)。「AI駆動型開発案件」の引き合いが増えていると説明した |
| ランサーズ | 「AIの実用化の進展に伴い、記事作成やデータ入力等の定型的な業務領域では発注の縮小が継続した一方、AI実装支援・AI導入コンサルティングや生成AI関連開発をはじめとする領域では需要が急速に拡大」したと説明した |
生成AIの導入で先行する米国では、ソフトウェア開発の求人が2025年2月末から2026年7月の時点までに約15%増えた。同じ期間の求人全体の増減は▲7%である。増えた求人の中身は、経験のある職とAIの職である。2025年5月から2026年5月までのソフトウェア開発の求人の増加分のうち、71%はシニア級の職、37%は職名にAIを含む職である(両者は重なる)。2026年1-3月のソフトウェア開発の求人のうち、エントリー級(典型的な必要経験は0〜1年)は4.5%で、求人全体でのエントリー級の比率(約46%)を大きく下回る(附録B)。
出所:forva調べ、SHIFT・TDCソフト・TIS・野村総合研究所・DTS・ギークス・ランサーズ・クラウドワークスの決算短信・決算説明資料・決算補足資料、Indeed Hiring Lab
2025年は業界の仕事量が大きく伸びた年だったが、定型的な案件が減り、事業者は経験の浅い技術者を採用しなくなった。ハローワークでは求人数が前年並みで求職者が増えたのに、IT技術者の就職件数は減った(第2章)。仕事量の伸びは2025年後半から下がり始めて2026年に大きく鈍り、求人数も2025年後半から前年を下回った。2026年は求職者の申込件数も増えた(第1〜3章)。この年には、クラウドソーシングを運営する上場2社も定型的な仕事の縮小を開示した(第2章)。生成AIが現場で話題に上るようになったのは2026年に入ってからで、SHIFTは採用を経験のある人材とAI関連の人材に移すとしている(第7章)。
影響の表れ方は立場によって異なる(図表 10)。事業者の側では、有料職業紹介の採用1件あたりの手数料が2019年度から2024年度にかけて19.9%上がり、1人あたりの営業利益が小さい従業員200人以下の会員企業(業界団体JISAの集計)には重い。案件の終了とともに発注者が契約を打ち切る例も多い(第5章)。技術者の側では、求められるのが経験のある人材で、経験の浅い技術者は仕事に結びつきにくい(第2・7章)。
| 立場 | 起きていること | 主な数字 |
|---|---|---|
| 技術者を提供する上場各社 | 売上総利益率を上げた会社が多い。営業利益が前年を下回った会社もある | 直近四半期に売上総利益率が前年同期を上回った会社は18社中13社、営業利益が前年同期を下回った会社は7社(第1章) |
| 上場SaaS企業 | 売上高の伸びは鈍ったが、人を増やすペースを先に落とし、営業利益率を上げた会社が多い | 営業利益率を上げた会社は26社中21社。従業員数の伸びの中央値は15.4%から9.3%へ(第6章) |
| 従業員5人未満の情報サービス業者 | 倒産が増えた | 2026年1-6月の倒産は135件で、前年同期比+25.0%(第4章) |
| 従業員200人以下の会員企業(JISA) | 人件費の比重が高く、採用の費用と待機の負担を吸収する余力が乏しい | 人件費が売上高の5割以上を占める会社は82社中32社(従業員1,001人以上は57社中6社)。有料職業紹介の採用1件あたりの手数料(全国平均)は2019年度の130.1万円から2024年度の156.0万円へ(第5章) |
| フリーランス技術者 | ギークスでは案件が減り、受注単価はほとんど上がっていない | ギークスの案件倍率は前年同期比▲36.5%(第4章) |
| 経験の浅い技術者 | 紹介が就職に結びつきにくくなった | IT技術者の紹介100件あたりの就職件数は2023年の8.8件から2025年は7.4件へ。就職件数は2025年は前年比▲9.5%(通年)、2026年1-8月は前年同期比▲5.1%(第2・3章) |
出所:forva調べ、第1〜7章の統計と各社の開示
10年の推移でみると、情報サービス業の売上高の伸びは2025年の10.1%が最も高く、2026年1-7月は前年同期比7.3%に下がった。事業従事者数の伸びは2023年の4.4%が最も高く、2025年は0.1%、2026年1-7月は前年同期比3.0%だった(図表 11)。事業従事者数の2025年以降の伸びは2025年1月の標本入替えの影響を受けている可能性があるため(附録B)、値の大きさではなく、働く人の数が売上高ほどには増えていないことの目安として読む。
図表 11
情報サービス業の売上高と従事者数の伸び(前年比・2016〜2026年)
総務省「サービス産業動態統計調査」の情報サービス業。線=売上高(オレンジ)と事業従事者数(青)の前年比/単位:%
| 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年1〜7月 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2.3 | 2.6 | 2.4 | 3.2 | ▲0.8 | 4.4 | 5.8 | 7.9 | 6.5 | 10.1 | 7.3 |
| 事業従事者数 | 2.0 | 2.4 | 2.5 | 3.0 | 1.7 | 1.0 | 2.4 | 4.4 | 2.3 | 0.1 | 3.0 |
2026年には、情報サービス業の中小企業と中堅企業の業況が悪化した。日本銀行の短観で情報サービス業の業況判断DIをみると、調査対象が見直された2026年3月調査以降、大企業は3月調査の52から9月調査の51とほとんど変わらない。中小企業は3月の33から6月に21へ下がり、9月も21だった。中堅企業も3月の51から9月に39へ下がった(図表 12)。短観の調査対象は資本金2千万円以上の企業で、第4章でみた従業員5人未満の事業者の多くは、これより資本金が小さいとみられる。2026年度の経常利益の計画(2026年9月調査)は、大企業が+4.6%、中堅企業が+3.7%の増益で、中小企業だけが▲18.0%の減益である。中小企業の2025年度の実績は+19.8%と、大企業の+10.7%を上回って伸びていた。
図表 12
情報サービス業の企業規模別の業況判断DI(2024年3月〜2026年9月調査)
日本銀行「短観」の業種「情報サービス」。業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値/単位:ポイント
| 24/3 | 6 | 9 | 12 | 25/3 | 6 | 9 | 12 | 26/3 | 6 | 9 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 大企業(資本金10億円以上) | 54 | 54 | 53 | 53 | 46 | 51 | 55 | 51 | |||
| 中堅企業(資本金1億〜10億円未満) | 37 | 37 | 35 | 40 | 45 | 43 | 45 | 47 | |||
| 中小企業(資本金2千万〜1億円未満) | 35 | 33 | 31 | 33 | 30 | 26 | 28 | 26 | |||
| 大企業(2026年3月の見直し後の基準) | 53 | 52 | 52 | 51 | |||||||
| 中堅企業(2026年3月の見直し後の基準) | 48 | 51 | 46 | 39 | |||||||
| 中小企業(2026年3月の見直し後の基準) | 31 | 33 | 21 | 21 |
倒産も増えている。東京商工リサーチの集計では、情報サービス業者の倒産は直近で最も少なかった2021年の137件から2025年は276件へ倍増し、新型コロナ前の2019年の239件も上回った。2026年1-6月には、従業員5人未満の事業者の倒産が前年同期比+25.0%だった(第4章)。
生成AIの影響は、自社で開発する技術者を抱える会社と抱えない会社で逆向きに表れるとみられる。SaaS企業のように技術者を抱える会社は、AIで工数が減るぶん技術者を増やさなくなる。上場SaaS企業では、すでに人を増やすペースが落ちている(第6章)。技術者を抱えない発注者は、AIを使うにも外部の事業者に頼ることになり、ITサービス事業者の仕事はむしろ増えうる。人月で対価を得る事業者ではDTSが「AI駆動型開発案件」の引き合いが増えているとし(第7章)、クラウドソーシングではランサーズが、AI実装支援などの領域で「需要が急速に拡大」したとした(第2章)。人月の事業者でも、こうした仕事を担える人材をそろえた会社は受注を伸ばしうる。担える人材が少ない会社では、従来の仕事の工数が減るぶん、売上高が直接減るおそれがある。同じ人月の事業者の中でも、AIに対応できる会社とできない会社の差が開いていくと見込まれる。
製品の利用料で対価を得るSaaS企業では、工数の減少は利益率の改善につながりうる。上場SaaS企業では人を増やすペースを落とした会社が多く、営業利益率を比べられた26社のうち、売上高の大きいラクスやSansanを含む21社が、直近1年の営業利益率を2024年より上げた(第6章)。ただし、AIで同じ機能を作りやすい領域では新規参入が増え、競争が激しくなると見込まれる。一方、独自のデータ、顧客ごとの複雑な要件、法令上の責任などを伴う領域では、AIはサービスを強める側に働くとみられる。上場SaaS企業27社のうち14社は、自社のサービスがAIに代替されるかどうかに開示で触れている。代替されにくい理由として、プラスアルファ・コンサルティングは複雑な個別要件・セキュリティ対応・独自データの蓄積を、弁護士ドットコムは責任を引き受けるのがAIではなく弁護士であることを挙げた。
出所:forva調べ、総務省「サービス産業動態統計調査」、日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」、東京商工リサーチ、DTS・ランサーズ・ラクス・Sansan・プラスアルファ・コンサルティング・弁護士ドットコムほか上場SaaS企業の決算短信・決算説明資料・有価証券報告書
業態ごとに当たる上場企業と、次の決算で見る指標を図表 13に示す。
| 本号で確かめたこと | 次の決算で見る指標 |
|---|---|
| 上流工程・ITコンサルティングベイカレント、シグマクシス・ホールディングス | |
| ベイカレントは案件数とコンサルタントの数を増やした。シグマクシス・ホールディングスは、2026年3月期の売上の未達の主因に第3四半期の稼働率の低下を挙げた |
|
| 大手SI(元請け)野村総合研究所、TIS、日鉄ソリューションズ、BIPROGY、シンプレクス・ホールディングス | |
| 野村総合研究所は、増益の要因の1つにAI駆動開発などによる生産革新効果を挙げた(第7章) |
|
| 中堅の受託開発・SESシステナ、クレスコ、TDCソフト、DTS、コムチュア、ハイマックス、IC、SIGグループ、エスユーエス、SHIFT | |
| 受注高は、システナとDTSが前年を下回り、クレスコ・TDCソフト・ハイマックスが上回った。SHIFTは採用を経験のある人材とAI関連の人材に移すとした(第7章) |
|
| 技術者派遣(機械・電気が中心)メイテックグループホールディングス、アルトナー | |
| 2社とも稼働率は前年とほぼ同じ水準で、技術者の対価は前年を上回った。メイテックグループホールディングスは9月、稼働時間が期初の予想を下回るとして4-9月の売上高の予想を引き下げた(営業利益の予想は引き上げた) |
|
| 技術者派遣(未経験者を採用して育てる型)オープンアップグループ | |
| IT領域では、7・8月とも在籍する技術者が前年より減り、稼働率も前年を下回った(第11章) | IT領域の在籍数・稼働率(月次の開示) |
| 人材紹介・転職サービス(IT人材を含む)ジェイ エイ シー リクルートメント、ビジョナル、アトラエ、キャリアデザインセンター | |
| ジェイ エイ シー リクルートメントは上期(1-6月)のIT・通信業界向けの紹介の売上を伸ばし、キャリアデザインセンターは求人企業の採用基準の厳格化を開示した |
|
| フリーランス人材の仲介(技術者・コンサルタント)ギークス、TWOSTONE&Sons、クラウドワークス、みらいワークス | |
| ギークスでは案件倍率が下がり、受注単価はほとんど上がっていない(第4章)。TWOSTONE&Sonsは3-5月期にエンジニアの稼働数を増やしたが、10月に通期の業績予想を引き下げた(第4章) |
|
| クラウドソーシングランサーズ、クラウドワークス、ココナラ | |
| ランサーズは定型的な業務の発注の縮小とAI実装支援などの拡大を、ココナラは低単価で単純な制作の縮小と高単価帯の増加を開示した(第2章)。クラウドワークスは、プラットフォーム事業を「AI影響を受けている」とした |
|
| SaaS第6章の上場SaaS企業 | |
| 営業利益率を上げた会社が多く、従業員数の伸びの中央値は下がった(第6章) |
|
判定ラインは業界の状態を測るためのもので、各社の評価や業績の予想ではない。判定の結果は、値が線のどちら側に出たかという事実として記す。
| 点検する見立て | 本号の値 | 線(越えたら見立てを改める) | 判定に使う数字が出る時期 |
|---|---|---|---|
| 技術者を提供する上場18社で、減収が広がっていない | 減収は3社(16.7%) | 減収の会社が30%以上 | 2026年10月〜11月中旬の各社の決算(アルトナーは12月上旬) |
| 同じ18社で、売上総利益率の改善が広がっている | 上昇は13社(72.2%) | 上昇した会社が50%未満 | 同上 |
| 未経験者を採用して育てる型の技術者派遣で、IT領域の在籍数が前年を下回っている | オープンアップグループのIT領域の在籍数の前年同月差は、7月度が▲229人、8月度が▲190人。9月度は未公表 | 7-9月度の前年同月差の平均が0人以上 | 8月度までは公表済み、9月度は10月下旬の見込み |
| フリーランス仲介会社のギークスで、平均受注単価の伸びが鈍い | +0.9%(2026年4-6月) | +2%以上 | 2026年11月上旬の決算 |
本号は初号のため、前号の判定結果はない。
7-9月のうち公表済みの分では、オープンアップグループのIT領域の在籍数が7・8月度とも前年同月を下回った(前年同月差は7月度▲229人、8月度▲190人)。ハローワークでのIT技術者の就職率も7・8月とも前年を下回った。IT技術者の求人数は7月に前年を上回ったが(+1.7%)、8月は再び前年を下回った(▲3.2%)。オープンアップグループのIT領域では、在籍する技術者が前年より減る中で、稼働率も7・8月度とも前年を下回った。同社のIT領域の在籍数と稼働率、ハローワークでの就職率は見立ての向きに動いた。一方、情報サービス業の売上高(名目・速報)の伸びは、2026年に入って鈍ったという見立てとは逆に、7月に4-6月より高まった(値は附録Cの図表 26)。日本銀行の短観の情報サービス業の雇用人員判断DIは、9月調査が▲44で、6月調査(▲41)より人手の不足感が強まった。このほか、業績予想を修正した会社がある。TWOSTONE&Sonsは決算期末(8月末)を過ぎた10月6日に2026年8月期の通期の予想を引き下げ、メイテックグループホールディングスは9月29日に4-9月の売上高の予想を引き下げて営業利益の予想を引き上げた。いずれも稼働が期初の想定を下回ったことを理由に挙げた(第4章・第10章)。
出所:技術者を提供する上場各社の決算短信・決算説明資料、厚生労働省「一般職業紹介状況」、総務省「サービス産業動態統計調査」、日本銀行「企業向けサービス価格指数」、日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」、ギークス、オープンアップグループ(IT領域の在籍数・稼働率)、TWOSTONE&Sons・メイテックグループホールディングスの業績予想の修正に関する開示
本号が対象とするのは、日本国内で技術者を発注者に提供するITサービス事業者(主にSES事業者・技術者派遣・受託開発の会社)、その事業者に雇われて働く技術者、仲介会社に登録して働くフリーランス技術者の三者である。発注者(ITサービスを発注する企業や官公庁)と、ITサービス事業者のうち大手システムインテグレータ(SIer)は、技術者を外部から調達する側として、比較のために扱う。ただし、SIerも自社の顧客に対しては技術者を供給する側であり、SES事業者が受けた案件を別の事業者に再委託することもある。そのため、技術者を提供する側と調達する側の区分は、企業の種類ではなく取引上の役割による。発注者から直接受注する事業者の下に、再委託を受ける事業者が何層か連なる取引を、本号では取引の階層と呼ぶ。SES事業者の大半は非上場で業績を開示しないため、本号はITサービス事業者の利益を、SES・受託開発、技術者派遣、フリーランス仲介、ITコンサルティングを営み四半期で開示を続ける上場各社の数値で観測する。本号は公表された統計と資料を整理したもので、個別銘柄の売買や株価水準についての見解は含まない。
技術者の提供には、次の3つの契約形態がある。
請負と準委任は民法上の契約、派遣は労働者派遣法に基づく契約である。請負や準委任の契約で発注者が技術者に直接指示すると、実態は派遣であるとして法令違反(いわゆる偽装請負)に問われうる。請負・準委任・派遣は契約の形の区分であり、人月・時間・固定価格といった料金の決め方とは別の軸である。
選定の基準: 技術者を提供する側(供給側)として、国内で技術者を提供する事業(SES・受託開発、ITと機械・電気の技術者派遣、フリーランス仲介、ITコンサルティング)が連結売上高の過半を占め、2026年10月9日までに2026年の四半期の決算を公表している上場会社を選んだ。対象はこの基準で選んだ会社で、市場全体を代表するものではない。各社の業態は主たる事業で分類した。基準に近い会社の当てはめは次のとおりである。ギークスは国内IT人材の事業の売上高(4,144百万円)が連結(6,969百万円)の過半で、残りの多くは豪州の人材派遣である。オープンアップグループの2026年6月期の売上高は、機電領域66,731百万円、IT領域40,901百万円、建設領域57,599百万円で、機電とITの合計が連結の過半を占める。メイテックグループホールディングスとアルトナーは機械・電気の技術者の派遣が中心である。エスユーエスは売上高の大半が技術者派遣で、技術者派遣とみることもできるが、本号は受託・SESに分類した(分類はforvaの判断である)。ランサーズとクラウドワークスはフリーランス仲介(クラウドソーシング)の事業が売上高の大半を占めるが、IT以外の職種(デザイン・ライティング・事務など)の仲介を含み、職種別の売上高は開示されていない。本号はフリーランス仲介を職種を問わず基準に含めた。ベイカレントはコンサルティングの単一の事業で、ITと戦略・業務のコンサルティングを分けた売上高は開示されていないため、ITコンサルティングが過半かは開示の値で確かめられない。本号は同社を含めた。大手システムインテグレータ(TIS・日鉄ソリューションズ・BIPROGY・野村総合研究所)も受託開発を営み基準に当てはまるが、本号はこの4社を外部から技術者を調達する側として比べるために別に置き、供給側の集計に含めない(どの会社をこの側に置くかはforvaの判断である)。上場各社は業界の中で規模の大きい会社であり、数多い非上場のSES事業者を代表するものではない。
| 会社 | 売上高(億円) | 前年同期比 | 売上総利益率の差 | 営業利益の前年同期比 | 営業利益率の差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 受託・SES | |||||
| ハイマックス(4299) | 51.2 | +15.0% | +0.7 | ▲1.2% | ▲0.8 |
| エスユーエス(6554) | 40.6 | +11.8% | +1.1 | +84.0% | +2.8 |
| SIGグループ(4386) | 27.2 | +4.4% | +2.5 | +61.9% | +2.9 |
| IC(4769) | 25.3 | ▲2.0% | +0.3 | +10.9% | +0.4 |
| SHIFT(3697) | 438.1 | +29.9% | ▲2.6 | +16.5% | ▲1.2 |
| システナ(2317) | 238.0 | +5.5% | +1.3 | +9.0% | +0.5 |
| クレスコ(4674) | 166.8 | +10.6% | +0.4 | +13.3% | +0.2 |
| TDCソフト(4687) | 118.1 | +4.0% | ▲0.6 | ▲4.3% | ▲0.9 |
| コムチュア(3844) | 95.5 | +6.7% | ▲0.8 | ▲13.8% | ▲1.9 |
| DTS(9682) | 310.2 | ▲5.7% | +0.6 | ▲11.1% | ▲0.7 |
| 技術者派遣 | |||||
| オープンアップグループ(2154) | 422.1 | +2.6% | +0.4 | ▲9.6% | ▲1.0 |
| メイテックグループホールディングス(9744) | 346.0 | +1.5% | +1.2 | +9.1% | +1.1 |
| アルトナー(2163) | 32.4 | +7.0% | +0.5 | +3.3% | ▲0.7 |
| フリーランス仲介 | |||||
| ギークス(7060) | 69.7 | +9.3% | +0.1 | +11.2% | 0.0 |
| TWOSTONE&Sons(7352) | 52.2 | +16.1% | +4.3 | ▲4.1% | ▲0.3 |
| ランサーズ(4484) | 13.7 | +15.5% | ▲6.2 | +272.1% | +2.3 |
| クラウドワークス(3900) | 52.6 | ▲9.0% | ▲1.4 | ▲90.1% | ▲7.2 |
| コンサルティング | |||||
| ベイカレント(6532) | 445.8 | +29.9% | +2.4 | +18.6% | ▲3.1 |
各社の補足
| 会社 | 含めなかった理由 |
|---|---|
| NTTデータグループ | 2025年9月に上場廃止(親会社による公開買付けと株式併合) |
| 富士ソフト | 2025年5月に上場廃止(公開買付けと株式併合) |
| アウトソーシング | 2024年6月に上場廃止(投資ファンドの出資会社による経営陣参加型の買収) |
| テクノプロ・ホールディングス | 2025年12月に上場廃止(公開買付けと株式併合) |
| SCSK | 2026年3月に上場廃止(住友商事による完全子会社化) |
| ワールドホールディングス | 技術者の派遣・請負を営むが、連結には製造系の人材派遣・請負や不動産事業などを含む。プロダクツHR事業(製造・技術・研究開発の派遣と請負)の売上高(347.4億円)は連結(719.5億円)の半分に満たず、同事業の在籍者は製造の人材が多いため、採用・人材サービスの参考とした |
| パーソルホールディングス | 技術者の提供(Technology SBU)を営むが、その売上収益(289.0億円)は連結(4,240.2億円)の1割に満たず、事務系の人材派遣と海外の事業が大半を占めるため、採用・人材サービスの参考とした |
3か月の値の求め方: 累計期間で開示する社については、当年・前年のそれぞれについて、対象の四半期までの累計から直前の四半期までの累計を引いて3か月の値を求め(forvaによる計算)、その3か月の値どうしを比べた。前年同期比は、3か月の値を求めた社では計算値、四半期の値を記載している社では会社の記載値を用いた。利益率の差は、小数第1位に丸めた利益率どうしの差である。売上高・営業利益は連結(国際会計基準の社は売上収益と営業利益)。
| 会社 | 売上高(億円) | 前年同期比 | 売上総利益率の差 | 営業利益の前年同期比 | 営業利益率の差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 各社の事業別の値 | |||||
| オープンアップグループ うちIT領域 | 102.1 | ▲2.3% | — | +17.4% | +1.7 |
| アルトナー 連結 | 35.7 | — | — | — | — |
| TWOSTONE&Sons うちエンジニアプラットフォーム | 44.6 | +10.8% | — | +86.3% | +3.8 |
| パーソルホールディングス うちTechnology SBU | 289.0 | +7.6% | — | +49.6% | +0.2 |
| 技術者を外部から調達する側(大手システムインテグレータ) | |||||
| TIS(3626) | 1,501.1 | +7.0% | +0.1 | +12.2% | +0.5 |
| 日鉄ソリューションズ(2327) | 936.6 | +13.3% | +1.1 | +8.8% | ▲0.4 |
| BIPROGY(8056) | 914.6 | ▲5.6% | +2.1 | ▲20.4% | ▲1.3 |
| 野村総合研究所(4307) | 2,104.6 | +7.5% | +0.8 | +12.0% | +0.8 |
| 採用・人材サービスの参考 | |||||
| ワールドホールディングス(2429) | 719.5 | +5.4% | ▲0.7 | ▲4.5% | ▲0.3 |
| ワールドホールディングス うちプロダクツHR事業 | 347.4 | +14.8% | — | ▲10.6% | ▲0.7 |
| パーソルホールディングス(2181) | 4,240.2 | +13.5% | ▲1.2 | +22.6% | +0.4 |
| ビジョナル(4194) | 261.4 | +22.7% | ▲1.9 | +25.1% | +0.4 |
| ジェイ エイ シー リクルートメント(2124) | 122.7 | +7.2% | +1.0 | ▲3.9% | ▲2.6 |
| リクルートホールディングス(6098) | 10,453.5 | +18.9% | +2.2 | +66.1% | +6.9 |
各社の補足
| 業態 | 社数 | 増収 | 売上総利益率の上昇 | 営業増益 | 営業減益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 受託・SES | 10社 | 8社 | 7社 | 6社 | 4社 |
| 技術者派遣 | 3社 | 3社 | 3社 | 2社 | 1社 |
| フリーランス仲介 | 4社 | 3社 | 2社 | 2社 | 2社 |
| コンサルティング | 1社 | 1社 | 1社 | 1社 | 0社 |
技術者を提供する上場各社を業態別に数えると図表 18のとおりだが、業態ごとの社数は少なく、事業の構成も各社で異なる。技術者派遣のオープンアップグループは連結で減益だが、IT領域のセグメント利益は前年同期比+17.4%と増えた。この表からは、業態によって利益の向きが分かれたかは判断できない。減益の会社には、ハイマックスのように外注先の単価と人件費の上昇に投資が重なった会社があり、増益の会社には、単価の改善や外注費の削減を説明した会社がある。
選定の基準: 第6章の対象は、次の3つをすべて満たす会社である。(1) 2026年9月30日時点で東京証券取引所のグロース市場に上場しているか、マザーズに上場した後にプライム市場・スタンダード市場(2022年4月の市場再編の前の市場第一部・第二部を含む)へ移った会社。日本取引所グループの上場会社一覧・新市場区分の選択結果・市場変更の一覧と、各社の有価証券報告書の沿革で確かめた。(2) 自社のソフトウェアをサブスクリプションまたはライセンスで提供する事業が中心で、継続課金の売上(会社によりストック売上・リカーリング売上などと呼ぶ)が売上高の5割以上の会社。比率は会社の開示による。比率を開示しない会社は、ARRまたは継続課金の売上の金額を売上高で割った値、継続課金にあたる事業の売上高の比率、または有価証券報告書の収益の分解で期間にわたって認識する売上の比率で判定し、いずれも開示がない会社は対象としなかった。比率は直近の通期の値を使い、通期の値がない会社は直近の四半期か半期の値を使った。(3) 直近の通期の売上高が50億円以上の会社。対象は年1回見直す。
| 会社(コード) | 市場 | 直近通期の売上高(百万円) | 継続課金の比率 | 直近四半期の売上高の前年同期比 | 直近四半期の営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ラクス※(3923) | プライム | 60,286 | 92.6% | +0.9% | 33.5% |
| Sansan(4443) | プライム | 53,761 | 93.0% | +20.1% | 15.4% |
| マネーフォワード※(3994) | プライム | 50,350 | 71.0% | +24.2% | ▲2.6% |
| フリー(4478) | グロース | 42,441 | 102.7% | +23.1% | 4.0% |
| サイボウズ※(4776) | プライム | 37,430 | 92.1% | +15.3% | 28.0% |
| セーフィー(4375) | グロース | 19,029 | 72.5% | +18.3% | 0.0% |
| インフォマート※(2492) | プライム | 18,817 | 93.1% | +8.3% | 21.5% |
| プラスアルファ・コンサルティング(4071) | プライム | 17,084 | 89.5% | +8.5% | 35.9% |
| 弁護士ドットコム※(6027) | プライム | 16,288 | 89.6% | +27.3% | 14.4% |
| プレイド※(4165) | グロース | 13,396 | 82.3% | +26.3% | 5.6% |
| スマレジ(4431) | グロース | 13,345 | 75.6% | +19.7% | 28.5% |
| ソラコム※(147A) | グロース | 12,423 | 74.8% | +52.1% | 6.4% |
| オプティム※(3694) | プライム | 11,731 | 60.1% | +58.2% | 11.2% |
| HENNGE(4475) | グロース | 10,924 | 94.4% | +16.0% | 18.0% |
| kubell(4448) | グロース | 9,529 | 95.0% | +17.1% | 10.3% |
| サイバートラスト(4498) | グロース | 8,360 | 67.3% | +12.0% | 19.1% |
| ネオジャパン(3921) | プライム | 8,230 | 87.8% | +8.7% | 30.9% |
| うるる※(3979) | グロース | 7,751 | 77.6% | +14.1% | 12.0% |
| ヒューマンテクノロジーズ(5621) | グロース | 7,496 | 88.5% | +13.3% | 19.4% |
| ユーソナー※(431A) | グロース | 7,191 | 80.0% | +12.1% | 20.7% |
| アドバンスト・メディア※(3773) | グロース | 7,063 | 80.0% | +39.9% | 13.6% |
| ヤプリ※(4168) | グロース | 6,056 | 80.1% | +12.5% | 15.2% |
| ドリーム・アーツ(4811) | グロース | 5,654 | 90.6% | +10.2% | 14.4% |
| カナミックネットワーク(3939) | プライム | 5,500 | 65.0% | +10.1% | 33.8% |
| 日本情報クリエイト(4054) | グロース | 5,472 | 79.0% | +21.6% | 26.3% |
| 勤次郎(4013) | グロース | 5,370 | 68.4% | +8.5% | 26.0% |
| サイバーセキュリティクラウド(4493) | グロース | 5,084 | 90.0% | +11.8% | 18.7% |
| 統計・資料 | 対象・母集団 | 公表頻度 | 本号で用いた最新時点 | データの群 | 掲載の形 |
|---|---|---|---|---|---|
| 厚生労働省「一般職業紹介状況」(長期時系列表・参考統計表) | 職業中分類「情報処理・通信技術者」のハローワーク取扱分 | 月次 | 2026年8月 | 定点観測 | グラフ・表 |
| 厚生労働省「毎月勤労統計調査」(本系列・共通事業所) | 情報通信業と調査産業計の事業所(規模5人以上) | 月次 | 2026年8月分(速報。共通事業所は7月分の確報) | 定点観測 | グラフ・表 |
| 総務省「サービス産業動態統計調査」 | 情報サービス業を含むサービス産業の事業所・企業(標本調査) | 月次・四半期 | 2026年7月分 | 定点観測 | グラフ・表 |
| 財務省「法人企業統計調査」 | 情報通信業の法人(資本金規模別・標本調査。四半期別調査は資本金1千万円以上) | 四半期・年次 | 2026年4-6月期/2025年度 | 定点観測 | 表・附録Bでの数値の引用 |
| 国税庁「会社標本調査」 | 内国普通法人(資本金階級別・標本調査) | 年次 | 令和6年度分 | 定点観測(年次) | 本文での数値の引用 |
| 厚生労働省「職業紹介事業報告書の集計結果」 | 有料職業紹介事業者が報告する職業別の常用就職件数と手数料(職業分類「情報処理・通信技術者」) | 年度 | 2024年度(速報) | 定点観測(年度) | グラフ(第5章) |
| 日本銀行「企業向けサービス価格指数」 | 企業間で取引されるサービスの価格(類別・品目別) | 月次 | 2026年8月分(速報) | 定点観測 | グラフ(第1章)・本文での数値の引用 |
| 日本銀行「短観」雇用人員判断DI | 情報サービス業の全規模合計 | 四半期 | 2026年9月調査 | 定点観測 | 第11章・附録Cでの数値の引用 |
| 日本銀行「短観」業況判断DI・年度計画 | 情報サービス業の大企業・中堅企業・中小企業(資本金2千万円以上) | 四半期 | 2026年9月調査 | 定点観測 | グラフ(第9章)・本文での数値の引用 |
| 上場各社の決算短信・決算説明資料・月次開示 | 技術者を提供する上場18社(一部は他事業を含む連結)、大手システムインテグレータ4社、採用・人材サービスの参考5社 | 四半期・月次 | 2026年4-6月(決算期の異なる社は、各社の四半期のうち2026年4-6月と重なる月が最も多いもの)/オープンアップグループの月次は2026年8月度 | 定点観測 | 表・本文での数値の引用 |
| 上場SaaS企業の決算短信・決算説明資料・有価証券報告書 | 第6章の対象の上場SaaS企業27社(図表 19) | 四半期・年次 | 2026年4-6月(決算期の異なる社は図表 19の注) | 定点観測(解約率と生成AIに関する記述はスポット) | グラフ・表 |
| ギークス「案件倍率レポート」 | 同社サービスの案件と、同社サービスで案件を探すフリーランス技術者 | 四半期 | 2026年4-6月 | 定点観測(案件倍率)/スポット(案件数・AI関連の案件の分析) | 補助グラフ・表 |
| 上場各社の業績予想の修正に関する開示(TWOSTONE&Sons・メイテックグループホールディングス) | 2社の業績予想と修正の理由 | 不定期 | 2026年10月6日公表分 | スポット | 本文での記述の引用 |
| JISA「情報サービス産業基本統計調査」 | 詳細編は売上高上位5社を除く295社(従業員200人以下は93社) | 年次 | 2024年度決算実績(2025年版) | 定点観測(年次) | 表での数値の引用 |
| JISA「賃金改定・採用計画アンケート」 | 正会員456社のうち80社回答 | 年次 | 2026年4月入社実績・2027年4月計画 | 定点観測(年次) | 本文での数値の引用 |
| リクルートワークス研究所「ワークス大卒求人倍率調査」 | 民間企業の大卒求人と就職希望者 | 年次 | 2027年3月卒 | 定点観測(規模別・業種別の求人倍率は2026年3月卒で公表が終わったためスポット) | 表での数値の引用 |
| マイナビ「企業新卒採用予定調査」「大学生就職意識調査」 | 回答した企業・大学生 | 年次 | 2027年卒 | 定点観測 | 本文での数値の引用 |
| Indeed Hiring Lab | 米国のIndeedの求人 | 不定期 | 2026年1-3月 | スポット | 本文での数値の引用 |
| Challenger, Gray & Christmas 人員削減の発表の集計 | 米国の雇用主が発表した人員削減の計画 | 月次 | 2025年(年間) | 定点観測 | 本文での数値の引用 |
| 東京商工リサーチ 倒産集計 | 情報サービス業の企業倒産(従業員規模別。本号は従業員50人未満の区分を引用、同社集計基準) | 半期・年次 | 2026年上半期 | スポット | 本文での数値の引用 |
| レバテック「IT人材の正社員転職市場動向」「ITフリーランス市場動向」 | 同社サービスのIT人材 | 不定期 | 2026年6月時点 | スポット | 本文での数値の引用 |
| 上場各社の決算説明資料・決算補足資料・有価証券報告書(生成AIに関する開示) | 各社 | 四半期・年次 | 2026年10月9日までに公表された直近の資料(主に2026年4月〜8月) | スポット | 本文での数値の引用 |
系列の不連続は次の2点である。第1に、2025年1月に総務省「サービス産業動向調査」と経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」が統合され、総務省「サービス産業動態統計調査」が始まった。本号が用いるのは統合後の系列であり、統合時の母集団情報の変更と標本交替の影響は図表 1の注と附録Bに記した。情報サービス業の売上高が前年を上回り続けた月数について、本号は前年同月比の符号の連続性に限り、統合前の総務省「サービス産業動向調査」まで遡って確かめた。第2に、毎月勤労統計の本系列は例年1月に調査対象の事業所の一部を入れ替えており、前年同月比にはその影響が含まれうる。
| 系列 | 期間 | 情報通信業 | 調査産業計 | 差(情報通信業−調査産業計) |
|---|---|---|---|---|
| 本系列 | 2025年(12か月) | 3.9% | 1.9% | 1.9ポイント |
| 本系列 | 2026年1-6月 | 5.0% | 3.3% | 1.7ポイント |
| 本系列 | 2026年7月 | 5.6% | 3.8% | 1.8ポイント |
| 共通事業所 | 2025年(12か月) | 3.0% | 2.3% | 0.7ポイント |
| 共通事業所 | 2026年1-6月 | 3.5% | 2.8% | 0.7ポイント |
| 共通事業所 | 2026年7月 | 3.0% | 3.1% | ▲0.1ポイント |
情報通信業の常用労働者の平均所定内給与の伸びは、本系列では2025年平均の3.9%から2026年1-6月平均の5.0%へ高まった。同じ事業所どうしで比べる共通事業所では、3.0%から3.5%への高まりにとどまる(図表 22)。情報通信業の伸びから調査産業計の伸びを引いた差(全産業への上乗せ幅)は、就業形態計では本系列でも共通事業所でも広がっていない。就業形態計の両方の系列と矛盾しない読みは、情報通信業の賃金だけが加速したのではなく、全産業の賃上げに2025年と同じ程度の上乗せが続いている、というものである。2026年7月の共通事業所の差は▲0.1ポイントだが、1か月の値であり、方向が変わったとは言えない。
一般労働者(パートタイム労働者を除く)に限ると、差は本系列で0.7ポイントから1.2ポイントへ広がり、共通事業所では0.4ポイントから0.5ポイントでほとんど変わらず、系列によって結果が異なる。本系列と共通事業所の差が、調査対象の部分入替え、労働者数の推計基準の更新などのどれによるかは、公表資料では分けられない。共通事業所は標本が小さく、どちらが正しいとも言えない。いずれの系列も情報通信業の常用労働者(通信・放送等の事業所や、技術者以外の職種を含む)の平均であり、IT技術者に限った賃金ではない。これらの統計で賃金の上昇は確認できるが、IT技術者を採用する企業が技術者を求める度合いや、技術者の交渉力の変化は識別できない。業界団体の調査では、JISA会員企業の賃上げ率は2025年度調査の4.66%、2026年度調査の4.22%である(回答企業の賃上げ率の単純平均で、毎月勤労統計とは対象も指標も異なる)。
図表 22
所定内給与の前年同月比(情報通信業と調査産業計・本系列と共通事業所)
厚生労働省「毎月勤労統計調査」所定内給与の前年同月比(事業所規模5人以上・就業形態計)/実線=情報通信業、破線=調査産業計。赤=本系列、青=共通事業所・単位:%
| 25/1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 26/1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 情報通信業(本系列) | 3.7 | 4.6 | 3.7 | 3.9 | 3.1 | 5.4 | 2.5 | 4.1 | 4.5 | 3.8 | 3.2 | 3.8 | 3.6 | 4.6 | 5.8 | 5.3 | 5.6 | 5.0 | 5.6 |
| 情報通信業(共通事業所) | 3.1 | 3.3 | 2.7 | 3.1 | 2.6 | 2.4 | 2.0 | 3.7 | 3.5 | 3.3 | 2.7 | 3.1 | 2.8 | 3.6 | 3.7 | 3.3 | 3.9 | 3.6 | 3.0 |
| 調査産業計(本系列) | 2.1 | 1.3 | 1.4 | 2.1 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 1.9 | 2.0 | 2.4 | 1.9 | 2.1 | 3.0 | 3.4 | 3.4 | 3.3 | 3.0 | 3.5 | 3.8 |
| 調査産業計(共通事業所) | 2.7 | 1.9 | 2.0 | 2.5 | 2.4 | 2.4 | 2.3 | 2.4 | 2.2 | 2.2 | 2.0 | 2.3 | 2.7 | 3.0 | 2.9 | 2.7 | 2.7 | 3.0 | 3.1 |
2026年の情報サービス業・情報通信業で働く人の数は、いずれの統計でも前年を上回ったが、伸びの大きさは統計によって大きく異なる。事業従事者数(総務省の動態統計・情報サービス業)は2026年1-7月の前年同月比が+1.7%〜+3.6%、常用労働者数(厚生労働省の毎月勤労統計・情報通信業)は2026年1-8月(8月分は速報)の前年同月比が+0.5%〜+1.8%、従業員数(財務省の法人企業統計・情報通信業)は2026年1-3月期+9.9%、4-6月期+1.3%である。動態統計の事業従事者数は、他社から受け入れた派遣・出向者と非技術職を含み、2025年1月の標本入替えの影響を受けている可能性がある。また、比較の基準となる2025年4月の値は、速報の1,455,200人から確報の1,429,700人へ▲1.75%改定されており(理由は公表されていない)、2026年4月の前年同月比はこの改定の影響を含む。3つの統計は、産業の範囲、人の数え方、標本がそれぞれ異なり、どれが正しいとは言えない。
情報サービス業の売上高の伸びから事業従事者数の伸びを引いた値は、一人当たり売上高の伸びの近似として使われることがある。しかし、総務省「サービス産業動態統計調査」の売上高は事業活動別の集計(事業所・企業等が行う個々の事業活動ごとに産業を分類)、事業従事者数は事業所・企業等を単位とした集計(主要な事業活動で産業を分類)であり、分子と分母の集計の単位が異なる(同調査の利用上の注意)。このため両者の伸びの差は一人当たり売上高の近似として使えず、本号では一人当たり売上高の近似とそれを賃金と比べた値を示さない。
法人企業統計の四半期別調査は、資本金1千万円以上の営利法人等だけを対象とする(年次別調査は資本金の大きさを問わない)。全業種では、資本金1千万円以下の法人が全体(グループ通算制度を適用する法人を除く2,981,629社)の87.8%を占める。資本金がちょうど1千万円の法人は、この「1千万円以下」にも四半期別調査の対象にも入るため、四半期別調査の対象外となる1千万円未満の法人の割合は64.5%以上87.8%未満である。図表 23で用いる資本金区分のうち最も小さい区分は資本金1千万円以上1億円未満で、短観の中小企業(資本金2千万〜1億円未満)におおむね当たる。ただし、この区分には資本金がちょうど1千万円の小さな法人も含まれる。法人企業統計にはより細かい資本金区分もあるが、本号は情報通信業についてその内訳を確かめていない。また、国税庁の集計(令和6年度分。金融保険業を含む全業種)と法人企業統計の対象の範囲は完全には一致しない。
出所:国税庁「会社標本調査」令和6年度分、財務省「法人企業統計調査」
| 資本金の規模 | 売上高 | 経常利益 | 経常利益率(前年差) | 人件費÷売上高(前年差) |
|---|---|---|---|---|
| 全規模 | ▲2.6% | +8.8% | 15.3%(+1.6) | 20.0%(+1.0) |
| 10億円以上 | +0.3% | +2.2% | 26.4%(+0.5) | 10.9%(+0.1) |
| 1億円以上10億円未満 | ▲15.4% | +19.6% | 8.6%(+2.5) | 27.5%(+5.1) |
| 1千万円以上1億円未満 | +7.3% | — | 0.8%(+2.4) | 30.0%(▲1.7) |
財務省「法人企業統計調査」の情報通信業(通信・放送・出版・インターネット附随サービス等を含む)の法人では、2026年4-6月期に売上高が前年同期を下回り、経常利益は増えた(図表 23)。売上高の前年割れは総務省の動態統計(情報サービス業)と向きが逆だが、対象産業の範囲と集計の単位(法人と事業所)が異なる。資本金10億円以上の区分には通信大手が含まれ、経常利益には受取配当などの営業外の収益も含まれるため、この区分の経常利益率は技術者を提供する事業者の利益率を示すものではない。1億円以上10億円未満の区分では、売上高が大きく減る一方で人件費の比率が上がり、経常利益も増えている。実際の事業の変化と、標本入替えや資本金区分の移動の影響を分けられないため、本号はこの区分の動きを解釈に使わない。
年次別調査では、情報通信業の資本金1千万円以上1億円未満の法人は、2025年度の人件費が付加価値に占める比率(労働分配率)が90.4%、売上高経常利益率が2.0%で、資本金10億円以上(40.9%、15.8%)より人件費が重く利益が薄い。2023年度と2024年度には同区分の経常利益率がマイナス(▲0.2%、▲0.1%)であった。一方、四半期別調査の資本金1千万円以上1億円未満の区分では、売上高に占める人件費の比率の前年差が2025年4-6月期▲4.1ポイント、7-9月期▲1.0ポイント、10-12月期▲3.6ポイント、2026年1-3月期▲4.4ポイント、4-6月期▲1.7ポイントと、5四半期すべてで前年を下回っており、直近で人件費が利益を圧迫している形は見えない。この区分で利益が薄いことは確かめられるが、直近で利益が悪化したことは確かめられない。一方、短観の中小企業(情報サービス業)では2026年6月調査から業況判断DIが下がり、2026年度の経常利益は減益の計画である(第9章)。法人企業統計の情報通信業の2026年4-6月期の実績には、その動きは表れていない。法人企業統計の四半期別調査は資本金1千万円未満の法人を含まず、従業員5人未満の事業者の財務状況は確かめられない。
| 指標 | 全体 | 大規模 | 中規模上位 | 中規模 | 小規模(200人以下) |
|---|---|---|---|---|---|
| 企業数 | 295社 | 66社 | 51社 | 85社 | 93社 |
| 同業者向け売上高比率 | 9.1% | 6.0% | 15.9% | 17.2% | 30.9% |
| 30歳の年収 | — | 538.3万円 | 492.7万円 | 475.3万円 | 465.8万円 |
| 10年定着率(男性) | 52.6% | 56.3% | 51.0% | 45.7% | 42.3% |
| 売上高人件費率 | 29.10% | 27.57% | 31.60% | 35.56% | 38.38% |
| 売上高外注費率 | 34.18% | 35.70% | 31.75% | 27.33% | 27.65% |
| 売上高営業利益率 | 10.15% | 10.91% | 7.99% | 7.60% | 7.00% |
JISAの集計で小規模の会員企業(従業員200人以下)は、30歳の年収が465.8万円と大規模の会員企業(538.3万円)より低く、10年定着率(男性)も42.3%と最も低い。小規模の会員企業は売上高の30.9%を同業者から得ており、その比率は大規模の会員企業(6.0%)を大きく上回る。売上高人件費率は規模の小さい会員企業ほど高く、営業利益率は規模の小さい会員企業ほど低い。この表からは、誰が誰に発注しているか(発注先の規模や取引の階層)までは特定できない。
| 従業員規模 | 求人数の前年比(2027年3月卒) | 初任給の前年比(2026年4月入社) |
|---|---|---|
| 300人未満 | ▲3.5% | +3.2% |
| 300〜999人 | ▲1.6% | +3.9% |
| 1,000〜4,999人 | ▲1.4% | +5.1% |
| 5,000人以上 | +4.0% | +6.2% |
| 全体 | ▲2.2% | +3.9% |
| 業種:情報通信業 | ▲2.5% | +2.1% |
2026年4月入社の大卒初任給は、従業員300人未満の企業の22.8万円に対し、5,000人以上の企業は25.6万円である(図表 25)。情報通信業の企業の大卒求人数は、2027年3月卒でも2026年3月卒(▲0.3%)に続いて前年を下回ったが、実測値は2点だけであり、減少の傾向とは言えない。2026年3月卒の情報通信業の求人倍率は0.28倍で、情報通信業を志望する就職希望者のほうが求人より多かった。
マイナビ「2027年卒 企業新卒採用予定調査」では、採用予定数を前年より「増やす」と答えた企業の割合から「減らす」の割合を引いた値が、従業員49人以下で12.5ポイント、5,000人以上で33.4ポイントで、前年(2026年卒の49人以下21.9ポイント、5,000人以上17.5ポイント)から規模による大小が入れ替わった(2時点の比較)。業種「ソフトウエア・通信」では、「増やす」と答えた企業の割合が2026年卒の25.7%から2027年卒の14.0%へ下がった。
マイナビ「大学生就職意識調査」で大手企業を志向する学生の割合は、2011年卒以降の値でみると(2011年卒は2012年卒以降と違いウエイトバック集計がない)、2010年代前半に下がった時期があり(最も低いのは2013年卒の36.1%)、2018年卒以降は2023年卒の48.5%から2021年卒の55.1%までの範囲にある。直近は2025年卒53.7%、2026年卒51.8%、2027年卒50.9%と2年続けてわずかに下がった。理系の機械・電気・情報系の学生(情報系だけの値はない)では、2026年卒66.7%、2027年卒61.6%である(2点)。2010年卒以前の値は集計の方法が異なるため並べない。マイナビの調査は新卒の学生を対象とし、経験のある技術者が大手を選ぶ度合いを測った統計はない。
JISA「賃金改定・採用計画アンケート」では、回答企業の1社当たりの新卒採用実績が2025年4月入社の40.9名から2026年4月入社の47.3名へ増え、2027年4月の採用予定は47.5名である。両年度は回答企業が異なり(有効回答は2025年度調査89社、2026年度調査80社)、同じ企業が採用を増やしたとは言えない。規模の大きい企業の回答が増えただけでも1社当たりの平均は上がる。
第6章の従業員数の伸びを、会社の規模と四半期で分けてみる。直近の期に伸びが前の期より下がった会社は14社、前の期以上だった会社は13社である。売上高200億円以上の5社の中央値は前の期の17.7%から9.3%へ下がり、それ以外の22社は9.9%から9.5%でほぼ横ばいである。直近の期の一人当たり売上高の伸びの中央値は7.2%である。
四半期末の人数を開示する13〜14社の前年同期比の中央値(買収などの影響を除く)は、2025年7-9月から2026年4-6月まで11.1〜11.6%で推移しており、売上高の伸びが下がった2025年10-12月以降もさらには下がっていない。
生成AIの効率化の数値例には、一部の製品の開発期間を最大31%短縮した例(マネーフォワード)や、開発の工数を33%削減したとする例(インフォマート)がある。人員の増加を抑えると書いた会社の例として、フリーは「コーポレート部門を含む全社的な増員抑制」と記載した。一方、インフォマートは2026年6月末の開発の人員を前年同期より34.4%増やしており、プレイドはAIの進化を事業の機会とみて採用を増やした。
出所:各社の有価証券報告書・決算短信・決算説明資料(マネーフォワード、インフォマート、フリー、プレイドほか)
米国の求人サイトIndeedの研究部門によれば、2026年1-3月に「ソフトウェア開発」に分類された米国の求人のうち、エントリー級(典型的な必要経験は0〜1年)は4.5%、シニア級(5年以上)は69.3%であった。ソフトウェア開発の過去の値は公表されておらず、この比率が絞られてきたかどうかは分からない。テック職全体では、2019年から2025年にかけてエントリー級の比率の変化は▲1ポイント強にとどまり、主にミッド級の比率が減り(▲7.7ポイント)、シニア級の比率が増えた(+9ポイント前後)。Indeedが職務内容から級を判定する分類は最近採用されたもので、同社が過去の記事で示した値とは並べられない。この資料は日本の資料とは対象も指標も異なり、同じ物差しで日米を比べることはできないため、本文では米国の状況を示す参考として引いた。
米国の人員削減について、民間の再就職支援会社の集計では、2025年に米国の雇用主が発表した人員削減の計画は全業種で1,206,374人(2024年は761,358人)だった。業種別では政府部門(308,167人)が最も多く、民間の業種ではテック業界(154,445人、2024年は133,988人)が最も多かった。削減の理由にAIを挙げたものは、2025年に54,836人、集計を始めた2023年から2025年末までの累計で71,825人である。いずれも発表された計画の集計で、実際に解雇された人数ではない。テック業界の値はテック企業の全職種の削減で、エンジニアに限らない。業種別の比較を年間でそろえるため、2025年の年間の集計を用いた。
出所:Challenger, Gray & Christmas
本号の見立ては、次の場合に改める。判定は第11章の判定ラインで本編ごとに行い、速報では途中経過を示す。
第11章の判定ライン4本の定義は次のとおりである。本号の値、線、判定に使う数字が出る時期は第11章の表に示した。
第11章の判定ラインは、次の規則で運用する。
参考指標は判定ラインと同じ方向を示すかの確認に用い、判定の結果には数えない。参考指標を判定に加える場合も、その後の号の判定から適用し、遡って判定しない。参考指標は次の5本に絞った。業界全体の売上高は情報サービス業の売上高で、ハローワーク経由の採用の動きは就職率で、オープンアップグループの技術者の稼働は同社のIT領域の稼働率で、人手の不足感は日本銀行の短観の雇用人員判断DIで、フリーランス技術者の仕事の量はギークスの稼働人月でみる。見立てのうち、従業員の少ないITサービス事業者と経験の浅い技術者についての部分には判定ラインがないため、倒産の集計と各社の開示を次号以降も参考として追う。
| 指標 | 次回公表 | 参考ライン | 本号での扱い |
|---|---|---|---|
| オープンアップグループのIT領域の稼働率の前年同月差(2026年7-9月度の平均) | 9月度は2026年10月下旬 | 0ポイント以上なら前年並み以上(7月度▲1.1ポイント、8月度▲1.2ポイント) | 同社のIT領域の在籍数は判定ライン3でみる。1社の値 |
| ハローワークでのIT技術者(厚生労働省「一般職業紹介状況」の職業分類「情報処理・通信技術者」、常用・パート除く)の就職率(2か月の就職件数の合計÷同じ2か月の求職者の申込件数の合計)の2026年8-9月 | 9月分は2026年10月末 | 2025年8-9月の就職率(就職件数718件÷求職者の申込件数9,278件、7.74%)以上なら前年を下回っていない(8月は6.01%、前年同月は7.13%) | ハローワークの取扱分に限られ、民間の転職サービス・直接採用を含まない。月ごとの比の平均ではなく2か月の合計で求め、計算の途中では丸めない。月ごとの振れが大きく、2026年2月は前年同月を上回った(8.36%対8.04%)。7月分は2026年5.80%、2025年7.83%。2024年8-9月は8.82%で、2025年の値まで戻っても2024年以前より低い状態とも両立する |
| 総務省 サービス産業動態統計 情報サービス業 売上高 前年同期比 2026年7-9月期 | 2026年11月下旬 | 0%以上なら前年以上を維持(4-6月期は5.5%、7月は8.2%) | 名目の値で、単価の上昇だけでも伸びるため参考 |
| 日本銀行 短観 情報サービス業 雇用人員判断DI 2026年9月調査 | 2026年10月1日に公表済み(業種別は10月2日) | ▲35より上なら不足感の緩和が一段と進んだ(9月調査は▲44で、参考ラインより下。6月調査は▲41) | 数値の引用のみ |
| ギークス 国内IT人材の稼働人月 前年同期比 2026年7-9月 | 2026年11月上旬 | 0%以上なら前年以上(4-6月は+1.7%) | ギークスが仲介するフリーランス技術者の仕事の量を、判定ラインの平均受注単価と並べてみる。1社の値 |